用語解説

製品関連

精密加工装置

ダイシングソー、グラインダ、ポリッシャ、また通常の切断砥石によるダイシングでは加工困難な素材の切断を可能にするレーザソーなどの総称。ディスコではお客様の高度な「Kiru・Kezuru・Migaku」ニーズに合わせた装置を製造している。

レーザソー レーザ光を用いて被加工物を完全切断、もしくはグルービング(溝入れ)する装置のこと。加工方式から“アブレーション加工”と“ステルス加工”の二種類に大別される。ブレードダイサで培ったノウハウを活かし、高精度な加工を可能としている。
【参考】https://www.disco.co.jp/jp/products/index.html?id=laser
ダイシングソー 電子部品などの切断や、半導体製造の後工程にて被加工物を個々のチップに切り分けるのに用いられる精密加工装置のこと。予め指定された箇所(ストリートと呼ばれている)を高精度に切削加工する。断面形状の良し悪しが製品性能に影響するため、高品質な加工が求められる。ダイサーと略称することもある。
【参考】https://www.disco.co.jp/jp/products/index.html?id=dicing
グラインダ、ポリッシャ 半導体製造工程において、主にシリコンウェーハの表面・裏面を高精度に研削・研磨する精密加工装置のこと。加工面の粗さ・平坦度などによって品質が評価されるため、高品質な加工が求められる。グラインダでは、ウェーハ製造工程向け装置と裏面研削工程向け装置の2種類に大別される。

精密加工ツール

ウェーハを切削加工するダイシングブレード、研削加工するグラインディングホイール、研磨加工をするポリッシングホイールの総称。精密加工装置にそれぞれ装着して使われる消耗品であるため、精密加工装置の販売が不振であっても、半導体製品の生産が行われている限り、安定した出荷が期待できる。

ダイシングブレード ボンド材と呼ばれる素材に人工のダイヤモンドパウダーを混ぜて、極薄のリング状にした精密加工ツールのひとつ。これを高速回転させて被加工物を切削加工する。ディスコでは、多岐にわたる顧客要求に応じるため、ボンド材の種類やダイヤモンドパウダーの配分などの違いにより5000品種以上を販売している。ブレードと略称することもある。
【参考】https://www.disco.co.jp/jp/products/tool.html?id=hub&hubless
グラインディングホイール グラインダに装着し、研削加工を行う製品。ダイヤモンドパウダーが含まれた小ブロック状の砥石が円周上に等間隔に配列されている。ホイールと略称することもある。
【参考】https://www.disco.co.jp/jp/products/tool.html?id=grinding_wheel
ドライポリッシングホイール ポリッシャに装着し、裏面研削が行われた後のシリコンウェーハから、微細な研削痕を除去する加工(ストレスリリーフ)を行う製品。名の通り、ドライ(乾燥)環境下での加工を可能とし、廃液などが発生しないことから環境負荷が小さいことが特徴。

技術関連

ディスコ特有用語

アプリケーション(アプリケーション技術) ディスコが提供する製品そのものではなく、その製品を手段として使い、お客様が真に求めている最良の加工結果(ベストソリューション)を提供する技術、またその結果を導き出すプロセス技術のこと。この技術は、お客様との信頼関係をより強固なものにすると同時に、さらなる高度なノウハウの蓄積をもたらし、最先端な技術についてのご相談に応えていく糧となる。
【参考】 https://www.disco.co.jp/jp/solution/testcut/index.html
テストカット お客様の要求(品質やスループットなど)を満たす為に行う無償の加工実験のこと。お客様が直接来訪・立会されて行う場合と、ワークを預けられる場合の二通りがある。通常は複数回実施され、最終的に装置や精密加工ツールの選定につながる。
【参考】 https://www.disco.co.jp/jp/solution/testcut/index.html
ワーク 被加工物の総称として使用されている。被加工物と同義。ウェーハだけでなく、パッケージなども含まれる。
フルカット 1枚のウェーハを完全にチップ化するダイシング方式。このほかに、途中まで切り込むだけのハーフカット加工がある。ウェーハはダイシングテープに貼り付けられた状態でフルカットされるため、ブレード(もしくはレーザ光)はウェーハを完全切断したのちに、ダイシングテープを切り込むに留まり、加工台(テーブル)を傷つけることがない。
チッピング 被加工物の切断面と表面が接する角部分の“欠け”のこと。これがICのアクティブエリア(動作領域)にまで達すると品質不良となる。
ミクロン(µ) メートル法による長さを表す単位。正式にはマイクロメートル(µm)という。1ミクロンは1ミリメートルの1000分の1。被加工物を高精度に加工するディスコではよく用いられる単位。
スループット(Through-put) 一般的には、一定時間内に加工される原料の量や処理される情報量のことをいう。ディスコでは、一定時間内に装置が処理できるワーク数量のことをいう。
ボンド材 砥石に含まれる結合材の総称。ダイヤモンドパウダーを保持している部分のこと。
フルオート 加工プロセスを含め、ワークの搬送や洗浄をすべて自動で行える機能。
セミオート ワーク搬送のみを手動で行い、加工プロセスは自動で行える機能。

加工用語

ダイシング 賽(さい)の目状に切り分ける(英語でdice)加工プロセスのこと。
グラインディング 研削加工と同義。グラインディングホイールを用いてウェーハを薄く削る方法。
バックグラインド ウェーハ表面に電子回路が完成した後に、その裏面(バック)全体を研削し、薄くする加工のこと。裏面研削と同義。
ダメージ 研削加工により加工表面から内部に入る極小なヒビのこと。研削痕と同義。グラインダの装置評価項目のひとつとなっており、この値が大きい(ダメージが深い)と次工程の加工中や加工後に割れやすくなるため、ダメージの少ない加工が求められる。
チップ強度 半導体ICチップの物理的強度のこと。薄化・ダイシング工程を経て個片化されたチップに破断試験を行い測定する。研削加工でのダメージが小さいほどこの強度は向上する。
ポリッシング 研磨加工と同義。 研削加工後のダメージを除去することを目的として行われることが多い。加工後には鏡面のようにピカピカになる。
薄化、ストレスリリーフ 薄化とは、最終製品(携帯電話やPCなど)の小型化・高集積化を可能にするために、ウェーハの裏面を薄く削る技術のこと。極めて薄くする場合を“極薄化“ともいう。ストレスリリーフとは、この薄化によって加工面に生じた微細な傷(ダメージ)を研磨加工にて除去し、強度の高いチップを製造する技術のこと。ディスコでは、ドライポリッシュやプラズマエッチングをはじめとする様々なストレスリリーフ手法を用意し、お客様の要望に応じて使い分けている。
【参考】https://www.disco.co.jp/jp/solution/library/grinder/thin.html
プラズマエッチング 特殊なガスを用いて化学反応させ、チップ表面および側面のダメージを除去するストレスリリーフ手法のひとつ。DBGプロセスにおいては側面までストレスリリーフできることで、チップ強度の大幅な向上が期待できる。
TAIKOプロセス 薄化後のウェーハが割れる危険性を回避する目的で開発された、バックグラインド技術のひとつ。ウェーハ研削時にその外周部を3mm程度加工せずに残し、その内側部分のみを薄化する新技術。加工後の形状が和太鼓の様な形状なため、加工後もウェーハがピンと張った状態を保ち、移送が容易になることが特徴。
【参考】 https://www.disco.co.jp/jp/solution/library/grinder/taiko.html

半導体関連

シリコンサイクル 半導体業界において3~5年周期で訪れる好不況の景気サイクルのこと。半導体製品の生産には大規模な初期投資が必要となることから、半導体メーカは生産設備をフル稼働させ、大量の製品を作ることで1製品当たりの経費を減少させる傾向にある。このことに起因し、市場に製品在庫が滞留しはじめても半導体メーカはすぐに生産調整を行うことが難しく、市場の需給バランスを大きく崩すこととなる。この結果、製品価格は大きく下落し、メーカの収益性が悪化するため、設備投資を凍結するなど、急激な変化を伴うことが多い。
シリコンウェーハ シリコン(Si)の単結晶を薄い円盤状にしたもので、半導体の回路を作り込むための土台となるもの。現在直径300 mmサイズが主流。
ICチップ 半導体集積回路(IC)をウェーハから切り出し個片化したもの。
ディスクリート コンデンサ、トランジスタ、ダイオードなどの単機能をもつ半導体素子の総称。機能が複雑な大規模集積回路などと異なり、仕様の標準化が進んでいる。
パッケージ 半導体素子とそれを包むモールド樹脂を含めた総称。主に黒色をしており、電気回路に接続する端子があるほか、衝撃から保護する目的もある。このパッケージ自体をダイシングする場合もある。
DRAM ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(Dynamic Random Access Memory)の略。演算処理のために通電中のみ一時的にデータを保存する半導体部品で、様々な電子機器に搭載されている。
NANDフラッシュメモリ 大規模な記憶容量を持つ半導体部品で、通電中以外でも記憶を保持し、消費電力が低く、高速に読み書きできることから、デジタルカメラや携帯型音楽プレイヤーなどの記憶媒体として使用されている。特にチップ強度が高く、小型で薄いことが要求されるため、ストレスリリーフ技術などのディスコの高度な技術が活かされている。
MEMS マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ(Micro Electro Mechanical Systems)の略。センサや極小モータなどの機械要素部品と電子回路を1つの基板上に集積化したデバイスのこと。主な例では、インクジェットプリンタのヘッド、圧力センサ、加速度センサなどがある。立体構造のため、切削時の加工負荷や加工点での洗浄水の水圧に非常に弱く、水を用いないレーザ加工が適している場合が多い。
TSV スルー・シリコン・ビア(Trough Silicon Via)の略。三次元貫通電極ともいわれる。積層されたICチップに小孔を設け、そこに金属を充填させることで上下のICチップを通電させる。従来は極細の金ワイヤーによる配線を行っていたが、近年より、機構の複雑化による影響や応答速度の高速化を目的に採用されはじめている新技術である。
SiP技術 システム・イン・パッケージ(System in Package)の略。数種類のICチップを積層してひとつのパッケージにする技術のこと。この技術によって、パソコンや携帯電話などのデジタル機器の更なる小型化・高機能化が可能となっている。